CELL REGZAの何がすごいか

「CELL REGZA」詳細仕様。新LED/超解像搭載の最上位TV - AV Watch

株式会社東芝は、メディアプロセッサ“Cell”を搭載した液晶テレビREGZA(レグザ)」のフラッグシップモデル「CELLレグザ 55X1」を12月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は100万円前後の見込み。

  PlayStation 3にも搭載している高性能メディアプロセッサの「Cell Broadband Engine」を搭載した液晶テレビで、同社のREGZAシリーズ最上位モデルと位置付けられる。アルミボディのディスプレイ部と、メディア処理回路や Cell、11系統の地上デジタルチューナ、3系統のBS/110度CSデジタルチューナ、1系統の地上アナログチューナ、3TB HDD搭載したチューナ部から構成される。


東芝CELL REGZACEATECでも大人気だったようだ。
確かにものすごく豪華な構成。CELL搭載にLEDバックライトにチューナー14基に3TバイトHDDにテレビとは思えないほどの冷却機構…。そしてCELLプロセッサの処理能力を生かした数々の機能。超解像、LEDを局所制御するローカルディミングによる高画質、1日分の地デジ放送を丸ごと録画するタイムシフトマシン、録画した番組を効率よく探す独自のインターフェースであるローミングナビ、などなど。
「これでもか!」といわんばかりに機能を詰め込んである。もう、やりたいことは全部やるんだ!という意気込みで作ったとしか思えない、テレビの枠を超えた製品になっている。まあ、その分ものすごく高いのだけど。


が、個人的に一番すごいと思うのは、実は「チャンネル切り替えの高速化」だと思う。


豪華なハード構成に物を言わせたいろいろな機能は、ぶっちゃけてしまうと「その良さが分かる一部の人」にしかメリットがない。超解像もハイビジョンコンテンツに適用したものはよーく見ないと違いが分かるものではないだろうし、SDコンテンツを見る人は、このクラスのテレビを買う人にはそんなにいないだろう。ローカルディミングも明るい部屋で見たらあまり意味がない。そもそもハイビジョンであること自体でそこそこの画質は達成できているので、それ以上を求めない人にはオーバースペックだ。録画しまくりも、そんなに地デジ見ない人には意味がない。


その点、チャンネル切り替えが高速になるっていうのは、誰にでもメリットが分かることだ。デジタルテレビはチャンネルの切り替えが遅いのは誰にとってもストレスになる。そこがまったく解消されるのである。一番多くの人にメリットを与えられるのはこの点だと思う。
なおかつ、他社が簡単にまねできない。全チャンネル同時デコードできるだけのパワーのあるプロセッサは、たぶんCELLだけだろうし。


こういう「誰にでもメリットが分かる」かつ「他社がまねできない」という機能はかなり有利なんじゃなかろうか。


ただ、高速チャンネル切り替えのためだけに100万円出せるか?といわれるとそれはかなり難しいので、これが有利になるのは普及モデルに搭載された後の話になると思うけれど。


もちろん、「だからCELL REGZAの高画質機能とか高度な録画機能には意味がない」なんて言うつもりじゃない。技術者視点では非常に興味深い製品なことは間違いないし、こういう高度な技術にチャレンジしていくことは技術力の向上に役立つだろう。こういう機能が必要という人にとっては非常に魅力的な製品になっているのも確かだ。でもそれらはマス向けの機能とはちがうかなという気はするけれど、CELL REGZAがマス向けの製品でないのも分かっているので、これはこれでいいと思う。


ただ、東芝くらいの大きなメーカーがテレビのビジネスとして成功させるには、マス向けのメリットを打ち出してこそ、ではないかなと思うのである。誰にでも良さの分かる機能で他社を突き放すことが重要なんじゃなかろうか。そういう意味で、CELL REGZAは要注目の製品だと思う。