フラット化する世界で生きていく方法

フラット化する世界という本がある。自分では読んだこと無いのだけど、読んだ人から聞いた話では、経済がどんどんグローバル化していくので、物も人も世界レベルでやり取りされるようになる。そうすると、労働に対する対価が国によって違うということがなくなっていき、同じ仕事に対しては同じ報酬が支払われるようになる。仕事が同じなら日本人でも中国人でもインド人でも同じ給料しかもらえない、ということ。(聞いただけなので、ほんとにそういう内容かどうかは分からんけど、たぶんこんな感じ。)


こういう世界が本当にくるのかどうかは分からないけど、もし本当になるとすると、われわれ日本人は仕事を巡って世界の人々と競争しなきゃいけないことになる。日本人は人件費が高いのでだいぶ不利だ。日本人と同じ仕事ができる中国人やインド人がいて、そっちの方が人件費が安くて低コストということになれば、日本人に仕事頼むより中国人インド人に頼もう、っていう流れになっていく。


こういう流れは実はもうはじまってる。例えばiPhoneアメリカの会社が作っているけども、実際の製造業務は中国の会社がやっている。iPhoneを組み立てる仕事はアメリカ人に頼むより中国人に頼んだ方がいいってこと。日本の企業でも、海外で販売する製品は現地で製造しよう、っていう流れがもうあるし、逆に日本で販売するものでも海外で組み立ててるっていう例ももうある。日産のマーチとか。日本人に頼むより、海外に工場建てて現地の人に組み立てを頼む方が安いから、どんどん仕事を海外に出してしまう。今は製造だけを人件費の安い国に委託してる感じだけども、将来その国の技術力が上がっていったら、製造だけでなく、研究、開発、設計もそっちでやってもらおう、っていう感じになっていくかもしれない。こんなふうに、フラット化した世界では人件費の高い人たちの仕事は、同じスキルを持ってて人件費の安い人たちにどんどん奪われていく。


サラリーマンっていうか、会社から給料をもらって働いている人は、労働力を会社に売っている、と考えられる。個人が労働力を商品として会社に売っているわけ。で、同じ商品を売っているなら、誰だって安い方を買おうとする。同じ労働力を売っているなら、安い方が選ばれるのは、まあ、当たり前のことかもしれない。IT化が進んでいるので、海外に仕事を頼むハードルも昔に比べてだいぶ下がっているだろうし、会社からしてみればわざわざお金のかかる日本人に仕事を頼む必要もなくなってきているのかもしれない。



そういう世界で日本人みたいな高給取り(新興国の人々に比べれば)が生き残っていこうと思ったら、どうしたらいいか。
ひとつは新興国の人たちには真似できない、高いスキルを身に着けること。他にできる人がいない仕事なら、多少高くてもできるひとに頼まざるを得ない。要は、スキルで自分を差別化すること。高度な技術力とか知識を持っているというのがその方法になる。そういうのがなくても、日本語ができるというスキルを生かして、日本人向けのサービス業に従事するとかもありかな。
もうひとつは、自分が安い労働力を使う立場にまわること。要は経営者側に立つっていうこと。安い労働力を生かして自分の事業の利益を稼げばいい。ただ、自分で事業を立ち上げて海外の労働力を使って儲けるって相当ハードル高いけども。

国としてできる対策としては、海外で製造された製品に高い関税をかけてしまうとか、外国人に仕事を渡せないような法律を作ってしまうとか、そんなことだろうか。けど、いまどきそんなことをやっていると企業の競争力がどんどんなくなっていって、結局日本企業が海外企業に淘汰されてしまうよね。


どういう生き方を選ぶかは個人の自由だと思う。まだ他にも方法はあるかもしれない。けど、昔のようにただ一生懸命働いていればみんなそれなりに幸せになれる、っていう時代は終わってしまったのかと思うと、どうにも切なくなってくるなぁ。