電子書籍なんてほんとに必要か?

電子書籍が何の役に立つのか? - あんだあどらいぶ
電子書籍で誰が幸せになれるのか? - あんだあどらいぶ


前回電子書籍に向いているのは、文章の中身だけでなくレイアウトや装飾も含めたコンテンツを楽しむことを目的にしている人たちと考えた。これはつまり、電子書籍の市場は紙メディア市場の一部を奪い取るだけということ。書籍市場全体で考えると、一部が紙メディアから電子書籍に置き換わるだけなので、市場自体は増えてない。ということは、電子書籍って端末メーカーや配信業者にはいいチャンスかもしれないけど、書籍業界全体でみるとそんなに美味しくないね、という感じがする。
出版社にしてみれば紙から電子化しないといけないけど、そのコストを払って電子化したら利益が増えるかっていうとそういうわけじゃなさそうだし。本屋さんは単純にお客を奪われるだけだし。書籍の著者も市場が大きくなって本を買ってくれる人が増えないなら利益は増えないわけだし。
さらに、書籍を捨ててwebメディアへ移行してしまう人もいるだろうから、書籍市場全体は縮小傾向。こう考えると、電子書籍ってそんなに美味しい市場じゃなさそうな気がしてくる。


じゃあどうするといいのか。ここは電子書籍とかまどろっこしい事言ってないで、さっさと全部webメディア化してしまえばいいのではなかろうか。

電子書籍とwebメディア

電子書籍に期待されてることってよく考えるとwebメディアでも実現可能だ。だから情報を得るのが目的の層は、紙メディアからwebメディアに移行するのはそんなに難しくない。コンテンツを楽しむのが目的の層も、webメディアで十分対応できるような気がする。レイアウトや装飾が大事なら、表示する時にそれらを再現してあげればいいだけだし。
web上だからって課金も別に難しいことではないだろうし。

webメディアだったらこんなことも

書籍がwebメディアとしてweb上に存在してれば、googleとかで簡単に検索できるようになる。こちらのブログで指摘されているような、どこにいけば読みたい本が売ってるのか?とかで悩む必要もなくなる。
また、こちらのブログにあるように、章ごと小分けしてばらばらに提供するにしても、googleで検索可能なら読みたいところをすぐに見つけることができて便利だろう。販売も課金の仕組みをどうするかだけの問題なので、実現可能だと思う。課金せずフリーにするモデルならもっとラク
それから、web上にあればダウンロードしてローカルで管理する必要も無いから、端末の記憶容量を気にしなくていいし、家からでも外出先からでも、どの端末からでも自由にアクセスできる。
さらに、書籍ごととか、その書籍の章ごとにURLを付けることができれば、web上で共有したりリンク貼ったりも簡単になる。そうするとこちらのブログにあるような、本を読んだ人同士がつながる仕組みもわりと簡単に実現できるようになるだろう。

書籍市場全体を広げよう

このように、webメディアなら電子書籍よりもさらにメリットが多い。これだけメリットがあれば、紙書籍市場を置き換えるだけでなくて、市場を広げることもできるんじゃなかろうか。書籍もweb上のコンテンツの一つ、となれば、それを利用した新しいサービスとかも生まれてくるだろうし。例えば、はてブの書籍版みたいなのとかね。そのサービスに惹かれて、いままで本を読んでなかったけど読んでみようかなと思う人たちも出てくるかもしれない。
webメディアへ移行するコストはかかったとしても、書籍を読むという人が増えて市場が大きくなる可能性が生まれる。書籍を出版する側も、市場が大きくなるなら単にコストを払うだけじゃなくて、それをちゃんと回収できるようにもなると思う。端末メーカー、配信業者、出版社、著者、ユーザー、みんなにメリットが出てくるんじゃないかな。

困るのは本屋さんくらいだけど、ここは紙の本の良さを大事にする層を相手にビジネスを続けていくしかないかな。規模は小さくなってしまうかもしれないけど、完全に消えてなくなってしまうことはない。本屋という形態のメリットを生かして、紙メディアがいいという人たち向けに最適化していけばいい。例えば、店内にいすを置いて楽に立ち読みできるようにするとか。陳列スペースを工夫してwebメディアには出せない独自性を出すとか。

まとめ

電子書籍が騒がれているけども、よく考えると結構中途半端な存在のような気がしてきた。紙の本をそのまま電子化してダウンロード販売って、なんかいまいちな気がする。進歩してはいるけど目指すべきなのはもっと先だろう、という感じだ。なので、今言われている電子書籍は過渡的なもので、将来はだんだんwebメディアに移行していくのではないかなあ、と思ったりする。