240Hz駆動のFEDの目的

CEATECで見つけた3つの次世代トレンド (1/5) - ITmedia NEWS
CEATEC2007のまとめのような記事。240Hz駆動のFEDについて以下のように書かれている。

高速駆動化は動画対策と思われがちですが、医療などプロフェッショナル用途向けにより精細な映像を出すことを目的としています。現在のシステムではまだ周波数が低く、カメラの動きが映像にボケとして映ってしまうので、それに対処するためです。

240Hz駆動は動画対策ではないらしい。これがどういう意味か調べてみた。


240Hz駆動のFEDとは

何のために240Hzで駆動しているのか?
240Hz駆動で広がる「FED」の可能性 - ITmedia NEWS
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20071003/ceatec10.htm
http://www.fe-tech.co.jp/jp/pdf/FET_PressRelease_J_20070801.pdf
これらのサイトによると、240Hzというのは「動画質劣化の知覚限界は240Hz付近」というソニーの研究結果にもとづいているらしい。「動画質劣化」が何のことなのか、ホールド表示でのことなのかインパルス表示でのことなのか、などが調べられなかったので詳しいことは分からないが。動画質を知覚限界まで高めてるということか。
応用例として、

  • 高速描画のプレミアムなゲーム筐体
  • 高精細の3Dディスプレイ

となっている。


240Hzにすると動画質が改善するのかしないのか?

「フレームレートを上げることで動画質を改善」というと、液晶テレビでフレームレートを2倍にして120Hz駆動することで動画ボケを抑える、というのを連想するが、今回のはそれとはちがうようだ。
そもそもFEDはインパルス駆動なので、もともと動画質は十分高いはず。動画ボケは発生しないので、フレームレートを上げて動画ボケを防ぐ、という必要がないから。
改善されるのは動画ボケではなく、「ジャーキネス」というものだろう。

  • 動画ボケ
    • 動いているものを目で追ったときにぼやけて見える
  • ジャーキネス
    • 目を固定して動いているものを見ると動きがギクシャクして見える

いままで、普通の60Hz表示のディスプレイでもジャーキネスというのはあまり感じたことがない。動いているものは目で追って見るものだからかもしれない。意識して見たり、並べて比較したらジャーキネスが分るのかもしれない。
動いているものは目で追って見るのが普通なら、ジャーキネスも普通は感じないものだと思う。そういう意味では、240Hz駆動したからといって「動画質が改善する」とはいえないかもしれない。


240Hz駆動が動画対策でないなら何なのか?

「現在のシステムではまだ周波数が低く、カメラの動きが映像にボケとして映ってしまう」というのは、撮影時に手ぶれや被写体ぶれによって映像がボケてしまう、ということだろうか? ということは、カメラでの撮影フレームレートが高くなればぶれが軽減される→表示も撮影と同じ高フレームレートで行えば高精細な映像になる、ということか。
でも、撮影時のブレを減らすだけなら高フレームレートで撮影しなくてもシャッタースピードを上げれば良いような気がするし、インパルス駆動なのだから表示を高フレームレートにする必要もなく高精細な映像が表示できるシステムになるように思うが…。これ以上の事は調べられず。
単純に考えて、高フレームレートで撮影、表示すれば、現実の風景に近づくので自然でなめらかな映像になるかもしれない。それが普通の人の目で区別できるのかどうかは別として。プロフェッショナルな用途になるとこのくらいが求められるということだろうか。