Google Buzz って何? に関するまとめ

Google新しいサービス「Google Buzz」を開始した。Gmailと統合された形でtwitterのようなことができるらしい。このGoogle Buzzがどういうものなのか調べてみたのでまとめておく。自分で使ったことは無いので、あくまで調べたことのまとめです。

Google Buzzの機能、特徴

Google Buzzの機能として、以下のようなものがあるらしい。

使い勝手の向上に関するもの
  • Gmail に組み込まれているのでセットアップは必要ない
  • 投稿フォームにURLをペーストすると、飛び先のWebページに掲載された画像を一覧表示し、URLとともにサイト内の画像を投稿できる
  • 写真やwebサイトのリンクが投稿されると内容を自動で抜き出して表示してくれる。YouTubeの動画もバズの画面上で再生できる
  • バズ上でやりとりした会話やコンテンツは、Gmail と同じように自分のアカウントに保存されるので、いつでも検索で引き出すことができる
モバイルでのメリットを向上させたもの
  • 投稿するときに、GPS 情報をもとにお店や場所を選んで、その場所についての話題をシェアできる
  • GPS 情報を元に、自分の周りの場所についたバズの一覧を見ることができる
  • 発信する位置の経緯度を使うのではなく、場所を選ぶようになっている。特定の場所で書かれたBuzzだけを検索して読む、といったことも可能になる
他サービスとの連携
  • TwitterFlickrPicasa Web Albumなどのフィードを取り込むことができる
    • 今のところこのデータは残念ながら一方通行。Google BuzzからTwitterの書き込みはできない。しかしGoogleは、いずれその機能も加わるであろうことや、全体的に同サービスをできる限りオープンにしていきたいことを示唆している
情報の整理に関するもの
  • Gmailでよくやりとりをする相手を自動的にフォローする
  • 興味が無さそうなものは自動的に除外されて、折りたたまれた状態になる
  • 面白そうなものは「おすすめ」してくれる。学習型のレコメンド

どうもぱっと見だと、Google Buzztwitterに足りない機能をいろいろ追加したもの、というように見える。使い勝手の部分はtwitterクライアントでそういうのがありそうな気もするけれど、モバイル機能はセカイカメラ的な要素を取り込んでて面白そうだ。

他サービス連携とか、情報整理についてはGoogle Buzz独自のように思う。ここらへんがGoogle Buzzの他サービスとの差別化ポイントであろう。

GoogleGoogle Buzzでやろうとしていること

つぎに、GoogleGoogle Buzzでやろうとしてることは何なのか?について。いろいろな人が語っているのをまとめてみる。

Googleのソーシャルサービス強化の取り組み
  • 新しいソーシャルサービスを一から作るかわりに、GoogleはBuzzを自社のメールサービスの重要部分(受信箱のすぐ下)に位置づけた
  • パーソナライズ――SNSのフィードやその他のアグリゲーション機能による――を拡大することで、サイトの「吸着力」は強まり、ユーザーの目をより長い時間Webページに引きつけることができる
ソーシャルなものを統合しようとする取り組み
  • ユーザがその都度メールとバズとIM(チャット)のどれかを選んで使い分ける状況をなくしたいと考えている
    • 「今はなんでも、正しい選択をするということが、ストレスになっている。だから、あまり選ばなくてもいいようにしてあげることも、重要だ。メディアは何を使う?、誰に送るべき?、etc., etc. …人びとはこんな選択にいつも悩まされる。」Sergey BrinGoogle創業者)のコメント。
  • 将来的には、業界標準の技術を採用し、データを他社とどんどん共有していく考え
    • 業界標準に準拠するサービスとなら自由自在にメッセージをやりとりできるようにし、電子メールのサービスとも、メッセージのやりとりを可能にする、という方向性でGoogleは考えているのではないか
    • 「日本で、アメーバなうや、greeひとこと、などのTwitter風サービスが続出した際に、「Twitterと競合する」とか「ネットが分断される」という意見があった。僕はそのときに「全然心配ない。すべてのサービスは同じ標準技術で相互にコメント出来合うようになるし、そうしない後発サービスは生き残れない」というようなことを書いたんだけど、実際にそういう方向に進み出しそうということだ。」Google Buzzはサル真似、それとも革命? | TechWave(テックウェーブ) より
情報の取捨選択を自動化する取り組み
  • 大量に流れてくるソーシャルな情報のなかから必要なものだけを抽出する取り組みはまだ誰もやろうとしていない。Googleはそれをやろうとしている
    • 「情報のS/N比を上げることがうちの強みの一つだ。検索でも毎日、それに努力している。個人のコミュニケーションも、今では検索なみのスケールに達しているから、やはりS/N比の向上が何よりも重要だ。」Sergey Brin
    • 「今のところはみんな、ノイズを我慢しながらいろんなレコメンデーションシステムを使っているのだ。今後必要な、今はまだない技術は、レレバンス技術(relevance technology, 人や状況に合った適切な情報を得るための技術)とでも呼ぶべきものだ。たとえばそのユーザはどんな記事が好きか、どの記事にコメントを書いたか、どれを読んでどれを読まなかったか、…などのデータを、今集めようとしている。最終的には、各ユーザが本当に関心を持つような情報集合を提供できるようになるだろう」Sergey Brin


サービスを統合して境界をなくそうとしていることと、情報の整理や取捨選択を自動化すること、がGoogleのやろうとしていることとしてあるようだ。機能面のGoogle Buzzの差別化ポイントとあわせて考えると、確かにこういう方向性を目指しているように思う。

Google Buzzの疑問点

最後に、Google Buzzが成功するかどうかの疑問点について。

  • Googleの過去と同様、ソーシャルグラフのあるべき姿を見誤っているのではないか
    • ソーシャルグラフ(人と人の結び付け方、フォロー関係みたいなものか)を自動的に生成する仕組みの考え方が本当に正しいのかどうか
    • 自動的に繋がりのある人を選んでくれるのはいいが、その人は上司だったり、友だちではない誰かかもしれないので、ユーザーが本当につながりたい人なのかどうか不明で、単なるおせっかいになるかもしれない
  • twitterに比べて複雑だ
    • Twitterが成功したのは簡単だから。自分のつぶやきはフォローしている人全員に送られるが、Buzzはそれほど単純ではない
  • Gmailユーザーがこれを受け入れるか
    • GmailのユーザーとGoogle Buzzのユーザーは共通してないのでは?
  • 情報の取捨選択はほんとに必要なのか?ノイズをノイズだからと切り捨ててしまっていいのか?
    • 「「○×なう」なんて、つぶやいた本人にすらノイズにすぎない。しかしノイズを流すことに寛容であることによって、シグナルなのかノイズなのか本人にもまだわかっていない「何か」をそこに書くことにも躊躇しなくなる。そのうちのいくつかは誰かにとってのシグナルとして扱われ、それがRTを通して共鳴することでシグナルは増幅される。」404 Blog Not Found:Google Buzz がただの buzz で終わる(かも知れない)理由 より


ようするに、フォローを自動的にやってくれる点だったり、レコメンド機能だったり、自動でノイズを除去する機能だったり、そういうGoogleが独自の差別化ポイントにしている「自動」の部分が、ユーザーの意思と反しているのではないか?というところが、このサービスが成功するかどうかのポイントになっている模様。



自動でいろいろやってくれるのはいいが、それによって「楽しさ」が失われているんじゃないか、というのはたしかにそうかもしれない。twitterの楽しさは、情報収集だけではなくて、どうでもいい情報のやりとりによる、ある意味「馴れ合い」みたいなものもあるのだと思う。Google Buzzのように自動で取捨選択されてしまうと、馴れ合いを楽しむものにはなりえないので、twitterと競合することはきっとない。

一方、Google Buzzは情報収集にとっては強力なツールになりうる。twitterのタイムラインや、その他サービスを全部集約してノイズはフィルタリングし、おすすめ情報があれば提示してくれるような、そういう使い方ができるようになるんだろうから。時間が無いときにはいいかもしれない。それが楽しいかどうかはべつとして。