通勤ラッシュの問題を解決するためにできること

電車通勤している者としてちょっと気になったエントリ。
都会の通勤ラッシュを解消する方法
ざっとまとめると、以下のような感じ。

  • 鉄道の料金が規制されているため、複々線化や新規参入などの輸送能力増強に踏み切るだけのインセンティブがない
  • また、そもそも職住隣接が実現できていない

  • 鉄道料金を自由化し、高運賃によって利益が得られるようにすればインセンティブも働くので、輸送能力が増加し、通勤ラッシュも緩和するであろう

  • しかし、土地の有効利用を促進する意識が薄いため土地代が高く、運賃を上げて利益を増やしても複々線化などの輸送能力増強は難しいし、職場の近くに住居を用意することも同様に難しいだろう。

確かに費用がかかるために複々線化ができない、線路を増やすための土地が取得できないというのはありえそうな話だし、土地代が高くて職場の近くに住めない、というのも分かる。

ただ、これだと打つ手無しになってしまうので、他に方法がないか考えてみる。

通勤ラッシュの原因と対策

単純に考えて通勤ラッシュというのは、利用者が多すぎるために負荷がかかりすぎているということかと。ならば対策は大きく分けて2つ。処理能力を高めるか、負荷を分散するかのどちらか。

処理能力を高める=輸送能力の増強

単位時間に運べる乗客の数を増やすこと。複々線化をおこなって線路を増やし、走れる列車の数を増やす。または、車両あたりの輸送能力を高める。後者は、車両の編成数を大きくするとか、座席をなくした車両や2階建て車両を導入して車両あたりの乗客数を増やす方法が考えられる。

負荷を分散する=乗客を分散する

乗客が一部に集中するのが原因なのだから、それ分散させればいいはず。分散させる方法は「場所の分散」と「時間の分散」2通り。

前者の場合、通勤先の分散、路線の分散が考えられる。通勤先の分散は、都心に集中している職場を別の場所に分散させること。サービス業でなければ人が多いところで仕事をする必要性はあまり高くないように思う。ならば、職場を都心から近郊に移してもそれほど問題にならないのでは。在宅勤務を導入するという方法もある。
路線の分散は、都心へ向かう路線を増やして乗客を分散する方法。行き先は同じでも、そこへいたる道筋が複数あれば人は分散されるはず。

後者の場合は、通勤時間を分散することで同じ時間に利用者が集中するのを防ぐ。どこの会社も同じような時間に出社することが通勤ラッシュの一因になっているはずだが、同じような時間に仕事を始めることにどれほどのメリットがあるのだろう。もし「朝礼があるから」なんていう理由だけだとしたら、出社時間をずらしたって構わないはずだ。

実現するには…

といっても、実現するのはそんなに簡単じゃない。

輸送能力の増強は鉄道会社にコストがかかる。通勤ラッシュに対応するために輸送能力を増やしても、ラッシュ時以外にはそのの能力はムダになっているわけで、正直効率がいいとは思えない。
通勤先の分散は企業にコストがかかる。都心にあることによってメリットを出している企業の場合、移転は難しいだろう。そうでない企業だけしか移転はしないと思われる。また、在宅勤務もおそらく実行できる職種が限られるので、どれほど通勤ラッシュ解消に寄与できるかは未知数。
路線の分散も鉄道会社にコストがかかる。新たに用地を取得しなければならないので、コストは莫大だろう。
通勤時間の分散はそれほどコストはかからないように思う。が、企業それぞれが考え方を変える必要があるだろうし、個人も勤務時間の変更を受け入れる必要がある。

結局どの方法でも誰かがコストをかぶることになる。現状維持では通勤客が多大なコストを払い続けることになる。

たぶん通勤ラッシュの解消は、鉄道会社だけが頑張っても、企業だけが改善を図っても、もちろん各個人の努力だけでも達成不可能ではなかろうか。上で述べたようなことを社会全体で協調して実行していく必要がある。みんながそれぞれコストを負担しながら。そのためのトリガーとして、ラッシュ時の運賃値上げがいいのか、法律でどうにかするのがいいのかは正直わからないけれど。
誰か特定の者だけにコストを負担させてどうにかしようとしてもうまく行かないことの一例がこの通勤ラッシュの問題ではないかな、と思うのです。



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