CEATEC2007

CEATEC2007に行ってきた。時間があまりなくホール9-11しか見れていないが。
やはりSONY有機ELと、各社の超薄型液晶テレビが人気。

テレビを中心に見てきたので、その感想など。あくまで主観。

sony

有機ELにかなりの人が集まっていた。厚さ3mmはデザイン的なインパクトが大きいようだ。
小型とはいえ画質はかなり良好に感じた。ピーク輝度と黒のしまりによるコントラスト感の高さは普通の液晶とはやはり違って見える。
若干画面に映り込みがあり、表面処理はARっぽい。黒をきちんと黒く見せるためか。
課題は寿命。今のところ液晶5万時間程度に対して有機ELは3万時間だそうだ。輝度は600カンデラだが、出そうと思えばもっと明るくなる。寿命との兼ね合いでこの明るさにしているらしい。
色は有機EL自体の発光色とカラーフィルタの組み合わせ。発色性のためにカラーフィルタを併用しているが、有機ELが改良されればカラーフィルタはなくす方向との事。RGBごとの劣化がスピードが異なると色が経時変化しそうでが、そうならないように制御されているため長期間使っても色が変わってしまうような事はないらしい。「低輝度でも色がしっかり出るのが液晶との違い」と説明員が言っていた。液晶は確かに低輝度で色再現性が悪くなり、その点は有機ELの利点と思われる。
現時点では、120Hz駆動のような動画改善技術は使っていない。小型だから必要ないとの判断だろうか。使おうと思えばいつでも使えるとの事。応答速度が数μ秒のオーダー(液晶はm秒のオーダー)なので、インパルス駆動もやろうと思えば可能と思われる。
画質面では、コントラスト、低階調の色再現性、ピーク輝度による輝き感は液晶に勝る。構造面では液晶よりも薄くなる利点がある。消費電力も液晶よりも少なくて済む。などなど、液晶よりも優れた面がいろいろとある。一方、寿命と画面サイズと価格が当面の課題。現実的な価格でこれ以上大きくできるのだろうか。できるなら期待大。

Victor

液晶関連の技術展示に気合が入っていた。超薄型液晶テレビLEDバックライト、3倍速駆動、Real Bit Driverなど。
超薄型は最薄部で2cm。真ん中あたりはそれなりに厚みがあるが、デザイン的には十分薄く感じられる。パネルのランプ部分を薄くすることで実現したそうだ。他社に先駆けて発売するらしい。すばらしい。
LEDバックライトはエリア制御可能。RGB3色のLEDを使っているとのこと。
3倍速駆動はまだ試作品。パネルはWXGA、回路は試作品での展示との事。なぜか静止画スクロールでの展示。試作品なので制約でもあったんだろうか。効果は確かにあるが、それほどのインパクトはない。
Real Bit Driverはグラデーションが滑らかに描かれる効果がある事が分かるデモが行われていた。比較対照がどういうものなのかよく分からないが、効果がありそうな事は分かった。

SHARP

超薄型液晶テレビにかなりの人だかり。確かに薄い。全体的に均一な厚みで、一部分が膨らんでるような事はない。どうなっているのかいろいろ聞いてみたが詳細は教えてくれなかった。108インチ液晶の使い方提案など、新しい用途の提案があり。

Panasonic

特に目新しい展示はなし。液晶テレビを分解した状態で映像を表示したデモがあった。液晶テレビの仕組みが分かりやすい。プラズマも技術的な展示はあまりなかった。

HITACHI

技術展示が豊富。最も注目されていたのは超薄型液晶テレビ。厚さが均一でかなり薄く見える。ただ、チューナーは外部にあるといっていたので、薄い中に全て収めているわけではないようだ。スタンドの中に外付けのチューナーやその他回路が入っていたのかも。
ハイブリッドディスプレイ(だっけ?)の高コントラストのデモもあった。液晶+リアプロみたいなディスプレイで、液晶テレビのバックライトがプロジェクタになったもの。コントラストはかなり高いが、リアプロみたいなものなので、視野角とかどうなるのかが気になる。見た感じ、斜めから見るとコントラスト悪そうに見えた。

MITSUBISHI

テレビ関連はあまり展示なし。表面処理がクリアなパネルのテレビが展示されていたくらい。クリアな表面はガラスが張られているのとは違うのでキズとかつきそうな気がするが、そんな事はないとの事。従来のパネルより弱いという事はないと説明された。

Pioneer

KUROの展示がメイン。コントラストの高さはかなりのものと思えた。外交反射を抑えた表面処理もかなり効果があり、そうでないものと並べると違いがよく分かる。これを見ると液晶よりプラズマの方が画質は有利に思える。

TOSHIBA

テレビ関連はあまり展示なし…というか、時間がなくあまり見れなかった…。ノートPCの展示の方が力が入ってたように感じた。


全体的には超薄型テレビがトレンドだったようだ。倍速駆動の次は薄さで差別化していこうというのが各社の戦略なのだろう。壁掛けにするかどうかはともかく、デザイン的には薄いほうがスマートに見えて良い。
画質面ではビクターの3倍速、Real Bit Driver、パイオニアのKUROなど注目できそうなものがあったが、それほど目立ってはいなかったように思う。薄型のインパクトの方が大きく、注目がそっちに集まっていたせいかもしれない。
画質ではなくデザインで差別化、ということは画質向上はそろそろ頭打ち、ということかもしれない。今以上に画質を向上する技術が出てないため展示もなかったのかも。もしくはこれ以上やっても違いがアピールできない、というレベルまで達しているということか。