CDの素材で音質が変わることがあり得るのか?
Expired
スーパー・ハイ・マテリアル・CD(SHM-CD)というものがあるらしい。
CDは、CDプレーヤーが発射するレーザー光線(レコード針に相当)がCDの読み取り面(信号記録面)に当たり、その反射光(音の信号)を再生して音楽にする仕組みだが、SHM-CDは、通常のCDとは異なる素材を使っている。読み取り面の素材に、液晶パネルなどにも使われる透明度が大幅に高いポリカーボネート樹脂を使用した。
見た目は変わらず、従来のCDプレーヤーで再生できるが、透明度が上がって光の損失が少なくなったことで、より正確に音の信号が伝わり、リアルな音の再現が可能になった。
との事。前にもガラス製のCDで音質が向上する、というのがあったが、それと同じようなものだろう。
透明度が上がって光の損失が減ることで音質が向上するというが、そんなことがほんとにあり得るのか? そもそもCDはデジタルで記録されており、1か0かを読み取ればいいだけ。レコードのように音の波形がそのまま刻まれているものを読み取るわけではないのだから、光の損失とか関係ないと思うのだが。というわけで調べてみた。
CDの違いで音質がかわることがあり得るか?
オーディオ雑学2 CDの誤り訂正
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20010611/dal14.htm
.− TODAY'S REMARK − 今日の必ずトクする一言
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上記のリンク先によると、CDの読み取りが音質に影響を与えることはあり得るんだろうと思う。専門的な内容が書かれているので難しいが、結論としては以下のような感じ。
- 「データの読み取り」そのものでエラーはほとんど起こらない
- 読み取りでエラーが起こったとしても「誤り訂正」によって修復されるのでデータが誤ることはない
- 読み取ったデジタルデータをアナログ信号に変換するときにノイズや歪みが発生することはあり得る
- CDのデータを読み取るときのモーター(サーボ)の挙動や、データに含まれるジッタがDA変換に影響する
CDで音質が変わる、というのでまず考えられるのは読み取りエラーが発生するかどうか、ということ。CDの記録面に書き込まれている0か1かのデータの読み取りで、0を1に、1を0に間違える誤りが発生してしまうかどうか。だがこれに関しては「誤り訂正」という技術によって間違いを訂正することができるため、最終的な読み取り結果にエラーは含まれない。あまりにエラーがひどい場合は訂正しきれないが、そんなにひどいエラーはそうそう起こらない。上記のサイトでも実験しているが、意図的に傷をつけたり、マジックで広く塗りつぶしたりしない限り訂正不可能なエラーは起こらない。
それよりも、読み取るときのサーボの影響の方が音質に影響する可能性があるらしい。CD読み取り時にディスクの回転がぶれたり回転速度が揺らいだりすると、それを補正しようとするように読み取り機構が制御されるらしい。読み取り位置を少しずらしたり、回転速度を調整したり、レーザーの焦点をずらしたり。そういう制御を行うための電源と、音を再生する部分の電源はたいてい同じなので、そこからサーボに電流が使われると音に影響を与えたりするらしい。ということは、重心が微妙にずれているCDなんかを使うと音に悪い影響が出ることは考えられそうだ。
結局CDによって音質が変わる可能性があるのは、サーボの動作が音声部分のアナログ回路に影響することのほうであって、CDの読み取り面の透明度がどうこうというのはほとんど関係ないのではないか、と思う。
それでも実際に聞いて音がよくなっていると感じる人がいるのも事実なのが難しい。まだ分かっていない音質劣化のメカニズムがあるのか、それとも単なる気のせいか。人間の感覚の曖昧さや心理的な効果が影響していると考える方が自然なように個人的には思うのだが…。
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